みなさんー!味噌、愛してますか?
今回は、みなさんが愛してやまない味噌を地方別に紹介したいと思います!
つまり、日本各地の地元で愛される味噌にスポットを当てます!!
記念すべき第一弾を飾るのは私の出身地でもある九州地方でございます。
人も土地も良くて「うまかもん(美味しいもの)」に溢れている九州。
えこひいきではないですよ。
皆さんもそう思いますよね?
その中でも、味噌に注目するというマニアックな私・・・
でもでも、味噌の魅力についてはみなさんも共感してくれますよね?
ですから、九州の味噌と言ったら・・・わかりますよね?
そう、あれですあれ。Say!
「麦味噌ー」
私の声だけよく響いたような・・まあいいでしょう
さて、前置きはこのくらいにして
豊かな食文化を支える味噌と歴史とともに継承された郷土料理を巡る旅
その第一弾、九州編をお供していただければ幸いです。
九州味噌の特徴とは
原材料と製法
九州味噌の代表格は「麦味噌」です。
その最大の特徴は、米麹ではなく「麦麹」を使用しており、
主原料は大豆・麦麹・塩です。
- 麹の割合(麹歩合)が高い
- 発酵・熟成期間は2〜6ヶ月と比較的短期間
- 仕上がりは淡色系であっさりとして味わい
九州は温暖な気候ゆえ長期熟成が難しく点から、短期間で旨味を引き出す製法が発展しました。
味と香り
- やさしい甘口が主流
- 北部(福岡など)では、やや辛口・赤味噌寄りもある
- 麦の香ばしさと、麹由来のほんのりとした甘さがあり、まろやかでクセのない口当たり
- 塩分は控えめで、出汁や具材の風味を活かす
食文化・用途
麦味噌は九州の家庭において味噌汁はもちろん、煮物や味噌ダレ、漬け床など
万能調味料として親しまれています。
- 熊本の「だご汁」
- 鹿児島の「さつま汁」「茶節」
- 福岡の「モツ鍋」
など郷土料理に欠かせない存在です。
暑い地域のため、あっさりとした汁物が好まれる傾向があり「冷や汁」など夏場にも活躍します。
地域性と麦味噌の発展
九州では米の栽培に適さない地域が多く、それに代わるものとして麦が生産されていました。
そのため、麦麹による味噌づくりが発展しました。
麦味噌文化は食材と気候に合わせた合理的な発酵食の進化系と言えますね。
また、福岡などの一部の地域では麦味噌と米味噌をブレンドした「合わせ味噌」があり
料理の用途によって使い分けられています。
九州各県の老舗味噌蔵と郷土料理
九州各県には100年以上続く歴史ある味噌蔵がいくつもあります。
そのほとんどが昔から変わらぬ製法でその味を守り続けています。
そして私たちの日々の食卓に並び昔から変わらず日本人の食文化を支え、
また健康を支えるスーパーフードとして活躍してきました。
そんな歴史ある味噌蔵があなたの住む場所にあるんですよ!
すごくないですか!?
ヴィンテージ好き、年代物好きにはたまらないでしょ?
ちょっと違うかな。。
いずれのいせよ、スーパーなフードを生み出してきた味噌蔵を少しだけご紹介します。
もしかしたら地元で一度は見聞きした味噌蔵が出てくるかもしれませんよ?
福岡県
鶴味噌醸造(柳川市)
創業は明治3年(1870年)。150年近くにわたり福岡の味噌文化を支えてきた老舗です。
主力は「米麹」と「麦麹」をブレンドした合わせ味噌で、大豆の旨味に米麹の甘み、
麦麹の香ばしさが絶妙に調和してる一品です。
カネダイ味噌醤油醸造元(東峰村)
170年の歴史があり、国産大豆と高い麹歩合にこだわった甘みがあり、まろやかな味噌が特徴。
昔ながらの香り高い麦味噌が地元で根強く愛されています。
熊本県
㈱山内本店(菊陽町)
宝暦元年(1751年)創業。270年以上の歴史を誇る熊本県菊陽町の老舗。
阿蘇の伏流水と厳選素材を使い、伝統の技で仕込む麦味噌や米味噌は深いコクとまろやかな甘味が特徴。
貝島商店/ヱビス味噌本舗(迎町)
昭和2年創業。90年余り麦味噌を中心に製造し風味豊かな甘口の味噌は
地元熊本に愛されており、学校給食や産業給食、病院等の食育に携わっているそうです。
長崎県
喜代屋(南島原市)
大正7年(1918年)創業。100年以上続く南島原の味噌文化を象徴する老舗。
麦味噌は麹歩合が高く、甘くまろやかな口当たりと麹の香りがする味噌が特徴です。
合わせ味噌も米味噌の割合を多くしており、より風味豊かな甘みのある優しい味わいとなっています。
原味噌本店(波佐見町)
江戸時代創業。長崎県産の米と麦を使用し、大豆の3倍の麹で仕込む甘口味噌が特徴。
無添加・手作りの生味噌は旨味の奥深さがあり、地元の田舎味噌として愛されています。
大分県
綾部味噌醸造元(杵築市)
明治33年(1900年)創業。杵築市の城下町にある老舗味噌蔵です。
店舗は18世紀中頃に建てられた町屋で、市指定有形文化財にもなっています。
伝統的な手作業と天然醸造にこだわり、地元産の原料と木樽で1年以上熟成させた赤味噌は
大豆の香りが濃厚で、素材の風味が生きているのが特徴です。
気になる方はコチラをご覧ください。
宮崎県
長友味噌醤油醸造元(宮崎市)
明治10年(1877年)創業。140年以上の歴史を持つ宮崎市青島の老舗味噌蔵です。
麹歩合が高く、麦の香ばしさとまろやかな甘味が際立つ南九州特有の甘口麦味噌が特徴です。
一年を通じて温暖な気候の中、四季に合わせて約一年かけて発酵・熟成させています。
鹿児島県
サクラカネヨ(いちき串木野市)
昭和2年(1927年)創業。麦麹を贅沢に使いまろやかなコク、深みのある味わいが特徴です。
主な商品には、3年以上じっくり熟成させた「長期熟成味噌」、
鹿児島県産大豆と麦を使い地元の銘水で仕込む「てんがら味噌」、
麦の甘みと大豆の濃厚な風味が調合した「麦味噌 粒」などがあります。
薩摩川内味噌醤油㈱(薩摩川内市)
明治38年(1905年)創業。鹿児島伝統の厳選肌麦を使用した甘口麦味噌が特徴です。
上品な甘みと麦の風味があり、無添加にこだわっています。
醤油や酢などの製造販売の他、味噌ラーメン店やクラフトビール醸造といった
事業も展開しており、発酵をテーマに新たな挑戦を続けています。
地域別味噌の傾向まとめ
地域 | 味噌の傾向 | 特徴 |
北部(福岡・佐賀・長崎) | 麦味噌中心。合わせ味噌も | 香ばしさと甘味のバランス◎ |
中部(熊本・大分) | 米味噌と麦味噌が混在 | コクの深さや熟成の香り◎ |
南部(宮崎・鹿児島) | 甘口の麦味噌が主流 | 淡色で甘く、粒が残る味噌 |
九州各地にある味噌蔵は単に味噌を作るだけでなく、地元の風土や伝統に深く結びついてきた存在です。
その蔵から生み出されてきた味噌が食卓に並び、家庭の味として記憶に刻まれていませんか?
それを思い出のままではなく、また次の代へと絶えず受け継いでいけたら素敵ですね。
大切な家庭の味として・・・
一方で、これから味噌に興味を持った方にとっては新しい家庭の味の誕生ですね!
楽しみが増えますね〜
これが地元の味!九州各県の郷土料理
おまたせしました!
地元の味噌をふんだんに使用した、九州各県の郷土料理。
あなたの舌鼓を打つ一品がありますでしょうか。
どうぞお召し上がりくださいませ。
一品目:味噌もつ鍋(福岡県)
福岡を代表する「もつ鍋」。
その中でも、味噌ベースのスープはコクがあり、まろやかで食べやすい仕上がりです。
ニンニクや唐辛子の相性もよく、体の芯から温まる品です。
二品目:だご汁(熊本県)
小麦粉をこねた団子(だご)と根菜・肉をたっぷり使った味噌仕立ての郷土料理。
赤酒や麦味噌を使って仕上げる家庭も多く、もちもちとした団子に味噌の旨味が染み込んでいます。
家庭ごとに違う味が楽しめるのも醍醐味です。
三品目:具雑煮(長崎県)
長崎の島原地方では具雑煮が正月の伝統的な料理として振る舞われます。
具だくさんの雑煮で、鶏肉や根菜、干し椎茸、卵焼き、穴子などを入れて味噌仕立ての優しい味わいが特徴です。
四品目:うずみみそ(大分県)
大分県民に愛される焼き味噌の一種で、白身魚(ひめいち)を素焼きにして身をほぐし、
赤味噌と砂糖、みりんを混ぜて焼き上げます。
ご飯のお供や酒の肴として親しまれています。
五品目:冷や汁(宮崎県)
宮崎の夏の定番「冷や汁」。
麦味噌を焼いて香ばしさを引き出し、出汁と合わせて冷たく仕上げる郷土料理。
きゅうり・豆腐・青じそを添えて、冷たいご飯にかけて食べるスタイルが一般的です。
あっさりしていながら栄養価が高く、暑い季節でも食欲をそそる一品です。
六品目:茶節(鹿児島県)
お椀に麦味噌・鰹節を入れて熱湯を注ぐだけのシンプルながら味わい深く、心に染み渡る一杯です。
鹿児島ならではの粒が残る甘口麦味噌が使われます。
忙しい朝の即席味噌汁として親しまれ、また二日酔いにもってこいとして
家庭の栄養ドリンクと呼ばれています。
まとめ/暮らしに根ざした九州の味噌
九州の味噌の旅はいかがでしたか?
あなた好みの味噌に出会えましたか?
九州各地の味噌を見ていくと、そこには地域の風土と素材、家庭の食卓に根ざした文化がはっきりと感じられます。
大まかに分けると、
- 北部は麦味噌と合わせ味噌による”バランス型”
- 中部は赤酒や木樽熟成による”旨味深い伝統型”
- 南部は甘口粒味噌をいかした”優しさと郷愁の味”
といった感じでしょうか。
味噌は単なる調味料ではなく、その土地の暮らしや歴史、家庭の記憶が詰まった発酵食品という名の宝石です。
受け継がれてきたのには意味があるわけですね。
みなさんも味噌の魅力にぜひ「沼」ってください!
次回、四国地方の味噌文化をテーマにお届けします。
また四国の味を一緒に堪能しましょう。
お楽しみにー