日本味噌図鑑

【日本味噌図鑑】ホンマもんの味噌巡り!関西の味噌味比べ(近畿地方編)

Mr.MISO
Mr.MISO
こんにちはー!MISOです。

 

さあさあ!やってきました第4弾!!

九州地方から北上し、西日本も終盤となりました。

残り半分ですね。

さて、お待たせしました。ここは海の幸も山の幸も集まり、人や物が行き交わる近畿地方

この土地で生まれた味噌は、まるでその歴史を物語るかのように個性的です。

今回の旅も近畿地方の6府県の味噌を味わいながら、その土地の歴史や食文化、そして地元に愛される郷土料理を巡っていきます。

あなたの知らない“ホンマもんの味噌”との出会いは果たしてあるんでしょうか。

今回も楽しい味噌の旅に出かけましょう!

 

滋賀県 琵琶湖の恵みとまろやか白味噌

滋賀の味噌を一言で表すなら、「優しい甘さと澄んだ香り」。

その理由は、米麹をたっぷり使い塩分はぐっと控えめで、発酵の力で生まれたまろやかな甘味にあります。

大豆は皮まで丁寧にむいて雑味を取り除く。

手間暇をかけるからこそ、舌にそっと溶ける上品な味わいになります。

滋賀味噌の特徴

  • 米麹比率が高い(大豆1:米麹2以上 白味噌はさらに多い)
  • 塩分控えめ(白味噌で5%前後、極上品は3%台)
  • 熟成は短期(白味噌で1週間〜10日)
  • 芳醇な香りを大切に、無添加・木桶仕込みが多い
  • 地元産の米・大豆を使用、環境にこだわり農産物認証もあり安全性が高い

食文化との結びつきも深く、

  • お正月は白味噌仕立ての雑煮に丸餅を浮かべる関西風
  • 近江牛の味噌漬けなど、地元食材との豪華コラボ
  • 琵琶湖周辺では家庭ごとの白味噌仕込みが今も続く

ブランドも「近江味噌」「九重味噌」「比良の里 倍麹味噌」など手作りの木桶仕込みにこだわる味噌蔵が多くあります。

 

滋賀県の味噌文化を支えた味噌蔵

九重(ここのえ)味噌製造(大津市)

1868年(明治元年)創業。

伝統的な「麹蓋製麹法」による手作り米麹を使い、自然な甘みと芳醇な香りが特徴の白味噌をつくっています。

また、「滋賀県産こだわり農産物認証」の米・大豆を使用し、原料にこだわった味噌は地産地消をカタチにしたものです。

オススメは「極上白味噌」です。

見た目はシルクのような美しさ。もっとも贅沢な白味噌です。

無添加のため熟成発酵してどんどん甘み、香りが増していきます。

 

青木味噌商店(栗東市)

1764年(江戸時代中期)創業。

江戸時代から250年以上、土地に根ざした無添加・天然醸造への情熱と地域と共に受け継いだ伝統の味を守り続けています。

オススメは「金勝(こんぜ)味噌」です。

地名を冠するこの味噌は、大豆の2倍の米麹と食塩以外は使用しない完全な無添加・天然醸造にこだわった逸品です。

 

郷土料理 泥亀(どんがめ)汁

出典:農林水産省ウェブサイト

食材は茄子と残りご飯、すりごまのみで”もったいない精神”で食材を余すこと無く使用した伝統の味噌汁です。

すりごまが泥のように見え、茄子の皮に切れ目を入れているものが亀の甲羅に見えることから「泥亀汁」と名付けられたそうです。

茄子とごまの栄養で夏バテ防止にはもってこいの味噌汁です。

 

京都府 雅の都が育む甘美な白—西京味噌の世界

お椀の中に”都の雅”を感じさせる京都の味噌。

大豆の倍以上の米麹を惜しみなく使う麹歩合。

塩分は全国でも最も低い水準で、発酵の甘みを存分に引き出します。

色は淡く、香りはやわらかい絹のような舌触りです。

京都味噌の特徴

  • 米麹比率が非常に高い(大豆の2倍以上)
  • 極低塩分で甘みが際立つ(4〜6%台)
  • 短期熟成で素材の風味を活かす(約1週間〜1ヶ月)
  • 淡い色合い
  • なめらかな舌触りと繊細な香り
  • 無添加・木桶仕込み

有名な「西京味噌」は京都味噌工業協同組合の厳しい基準を満たす蔵元だけが名乗れるブランド味噌。

ごまかしが効かない職人技と高品質な原料が味を決める京都の味噌は、まさに”食べる芸術品”です。

 

京都の味噌文化を支える味噌蔵

本田味噌本店(上京区室町)

1830年(天保元年)創業。

元々は麹造りをしていましたが、宮中用に味噌を献上したことに始まり、長らく宮中御用達として納品を続けていました。

明治維新以後は一般向けの販売も開始。

京都を”西の京”と呼んだことに由来し名付けた「西京味噌」は広く親まれるようになりました。

オススメは「西京白味噌」

米麹の量を大豆の2倍使い、淡い黄色、上品な甘さが特徴で京料理には欠かせません。

 

石野味噌(下京区油小路通)

1781年(天明元年)創業。

味噌の醸造に最も大切なのは良質の水と考え、銘水「石井筒」が湧き出る地に店を構えました。

以来、9代にわたる伝承の技を守り京料理に欠かせない白味噌や各種味噌を作り続けてきました。

オススメは「懐石白味噌」

麹歩合が最も高く、甘口で薄塩の風雅な味わい、上品な甘さとクリーム色が特徴です。

 

郷土料理 白味噌の雑煮

出典:農林水産省ウェブサイト

京都での正月の定番料理。

丸餅、頭芋(里芋の親芋)、大根、京野菜などの具材を白味噌仕立ての出汁で煮ます。

甘みがある白味噌が特徴で、華やかなお正月のお祝いに欠かせません。

 

大阪府 商人の粋と甘みがとけ合う白味噌文化

大阪は京都と同じく白味噌が主流。

江戸時代から続く味噌蔵が軒を連ね、料亭や旅館、家庭の祝の膳まで幅広く食文化を支え愛されていきました。

大阪白味噌の特徴

  • 甘口、低塩(塩分約5%前後)でまろやかな味わい
  • 米麹たっぷりで淡色系
  • 短期熟成

現代の大阪味噌は伝統を守りながらも進化していて、ゆず味噌羊羹や味噌ショコラなどの新感覚スイーツまで創作されています。

大阪の白味噌はまろやかでやさしい甘みの奥に、商人の町大阪らしい商売っ気を感じさせる・・・そんな味噌です。

 

大阪の味噌文化を支えた味噌蔵

大源味噌(大阪市中央区)

1823年(文政6年)創業。

初代が天秤棒で自家製味噌を売り歩いたことから始まり、現在まで約200年以上の歴史ある老舗。

味噌スイーツ、漬物、有機栽培餅などバラエティに富んだラインナップで消費者の心を掴み続けています。

オススメは「プレミアム醸造味噌シリーズ」です。

原料にこだわりぬいた味噌の上品な味わいに舌鼓打つこと間違いなしです。

 

米忠(こめちゅう)味噌本舗(大阪市西区)

1750年代より米問屋を開業し、初代が自家製米麹で仕込んだ味噌が評判となり1820年(文政3年)に味噌醸造・販売業へ転身。

約200年にわたり大阪や関西の方に愛されています。

明治・大正・昭和時代には宮内省御用達、軍への納入実績もあり味と品質の信頼が伺えます。

オススメは「上特選赤みそ」です。

高級料亭の赤だしを家庭でも簡単に再現でき、コクのある本格的な味わいです。

 

郷土料理 どて焼き

出典:農林水産省ウェブサイト

牛すじ肉を味噌ベースで甘辛くじっくり煮込んだ料理で、大阪の庶民の味として有名です。

赤みそや合わせ味噌を使って味付けし、こんにゃくなども一緒に煮込みます。

濃厚な味噌の旨味が特徴で、居酒屋や屋台の定番メニューとして外せません。

 

兵庫県 海と山が育てた多彩な味わいの発酵文化

兵庫県の味噌は、一言でまとめるのが難しいほどのバリエーションの豊かさ。

北の但馬は塩分しっかりで辛口寄り。

南の播磨や阪神は甘口でまろやかと、地域によって味わいがガラッと変わります。

どの味噌も共通しているのは、自家製麹をふんだんに使い天然醸造でじっくり熟成させること。

10ヶ月ほどの熟成で、色は白からだんだん赤みを帯びた味噌へと育っていきます。

兵庫の味噌の特徴

  • 北部(但馬):塩分高めでキリッとした辛口
  • 南部(播磨・阪神):甘口でまろやか。雑煮など祝いの料理に好まれる
  • 天然醸造・長期熟成:じっくり熟成させることで深みのあるコク
  • 発酵文化との結びつき:但馬杜氏や灘の酒造で培われた技術が味噌にも応用

まとめると兵庫の味噌は地域性の幅広さと酒造り由来の発酵技術、地元産原料へのこだわりが特徴と言えます。

まるで甘口から辛口までそろった”発酵のデパート”のような土地柄ですね。

 

兵庫県の味噌文化を支えた味噌蔵

六甲味噌醸造所(芦屋市)

1918年(大正7年)創業。

100年以上の歴史があり、阪神大水害や戦災、阪神・淡路大震災など幾度もの困難を乗り越えてきました。

六甲山から湧き出る水や大豆、米などの原料にもこだわり伝統的な天然醸造を守っています。

オススメは「完熟みそ」です。

毎年売り切れる限定商品。

厳選素材を使い天然醸造により、塩分を抑えたヘルシーな赤みそです。

 

小松屋(姫路市)

1877年(明治10年)創業。

代々、伝統製法「せいろ麹(室蓋式 製糀法)」にこだわり職人の手作業により糀づくりから味噌の醸造まで丹念に行っています。

オススメは「唯みそ」です。

姫路農産ブランド「姫そだち」にも認定され、全国味噌鑑評会で理事長賞を受賞している高級贅沢味噌です。

 

郷土料理 ちょぼ汁

出典:農林水産省ウェブサイト

どろっとしただし汁に、団子とささげ豆、ズイキが入っていて江戸時代から続く淡路島の郷土料理です。

名前の由来は、子どもが可愛いおちょぼ口になるようにとの願いを込めたところからついたと言われています。

栄養価が高く、産後の乳の出を良くするために嫁に食べさせる風習があったそうです。

 

奈良県 味噌のルーツがここに?歴史あるとこに味噌がある

奈良と言えば大仏や古寺を思い浮かべる人が多いですが、実は「味噌のルーツ」が色濃く残る土地です。

全国でも珍しい「えんどう味噌」という青えんどう豆を使うレアな味噌を作る地域もあります。

また一見関係なさそうな、唐招提寺興福寺といった古の寺院文化とも深く結びついるんです。

古代から続く発酵文化の聖地。それが奈良の味噌なんです。

奈良の味噌の特徴

  • 基本は米味噌
  • 手ごね製法、天然醸造、無添加
  • 熟成は1年以上。
  • 米麹の粒が残る田舎味噌スタイルが人気
  • 甘みとコクがしっかりある

 

また、奈良の味噌文化を語るうえで欠かせないのが寺院とのつながりです。

唐招提寺の鑑真和上は唐から伝わった「醤(ひしお)」の文化を広め、今も「招提みそ」として受け継がれています。

他にも歴史上の人物と深く関わっており、味噌は寺院文化とともに日本に定着したとも言えます。

 

アイキャッチ クイズで学ぶ味噌の歴史
家康も食べていたってホント?!クイズで学ぶ味噌の歴史!味噌の歴史をクイズ形式で楽しくひも解きます!あの歴史上の人物との関係があるとかないとか・・・。...

奈良県の味噌文化を支えた味噌蔵

梅谷醸造元(吉野郡吉野)

1887年(明治20年)創業。

吉野川の清らかな水と気候に恵まれた地で、伝統的な木桶仕込みにこだわり続けています。

100年以上使い続けている吉野杉の大桶には蔵付き麹菌が住み着き、独自の味と香りを生み出されます。

オススメは「糀味噌」です。

米麹をふんだんに使ったコクと甘みがある贅沢な味噌です。

 

嶋田味噌・麹醸造元(磯城郡田原本町)

江戸時代初期創業の260年以上続く老舗。

昔ながらの手ごね製法を貫いており、国産の米・大豆・赤穂の塩を使用し約1年間熟成させた味噌を作っています。

近年では室町時代に用いられた「法論味噌(ほうろうみそ)」という古代味噌を復活させ、味噌文化の再興にも力を入れています。

オススメは「茜八味噌の白味噌」です。

麹のまろやかな甘味とコクのある米麹の粒のない味噌です。

 

郷土料理 大和の雑煮

  出典:農林水産省ウェブサイト

豆腐、祝大根、金時人参、里芋、丸餅などが入った白味噌仕立ての雑煮。

雑煮の餅を取り出してきな粉に付けて食べる地域が多いようです。

地域や家庭により具材や味付けにバリエーションがあります。

 

和歌山県 食べる味噌のルーツと醤油の誕生

和歌山県は”そのまま食べて美味しいおかず味噌”として、食卓に欠かせない「金山寺味噌」発祥の地。

金山寺味噌の特徴は

  • 米・麦・大豆の三種の穀物を麹にする
  • 刻んだ野菜(瓜、なす、生姜、しそなど)を加える
  • 木桶で3〜10ヶ月じっくり熟成

米麹の割合が多く甘みと滑らかさが際立ちます。

金山寺味噌は鎌倉時代に中国で修行した禅僧・覚心が日本に持ち帰り伝わりました。

その当時の金山寺味噌は水分が多く、製造過程で味噌が入った樽の底に「たまり」が溜まっていました。

この液を舐めてみると非常に美味しく、これを調味料として使い始めたのが「醤油」の起源とされています。

また、高野山真言宗の開祖・空海も修行僧たちに味噌の製法を伝え、味噌と醤油の文化が日本に根づく基盤を作ったと言われています。

 

和歌山県の味噌文化を支える味噌蔵

あみ清 数見商店(有田郡湯浅町)

1688年(元禄時代)創業。

江戸時代中期から金山寺味噌の醸造を始め、国産の原料選別、仕込み、紙貼りに至るまですべて手作業で行います。

無添加で昔ながらの製法を忠実に守り、手間ひまかけて作る味噌はまろやかで深みある味わいです。

オススメは「紀州金山寺味噌(養老醤)」です。

 

丸新本家(田辺市)

1881年(明治14年)創業。

原料はすべて国産にこだわり、特に地元の伝統野菜である「湯浅なす」を復活させて使用するなど、地域資源を大切にしています。

100年以上使われている吉野杉の木桶で天然醸造による長期熟成で旨味を引き出しています。

オススメは「具だくさん紀州金山寺味噌」です。

 

郷土料理 金山寺味噌

出典:農林水産省ウェブサイト

和歌山県発祥の「なめ味噌」の代表で、ご飯のお供や酒の肴としてそのまま食べるおかず味噌です。

米・麦・大豆の麹を使い、瓜、なす、生姜、紫蘇などの野菜を漬け込んで発酵させます。

野菜の旨みと甘み、塩気がバランスよく絡み合い、食感も楽しめるのが特徴です。

 

まとめ

近畿地方の味噌は、甘口の白味噌から力強い赤味噌、そして金山寺味噌のような食べる味噌までバラエティ豊か。

京都や大阪の華やかな白味噌文化、奈良に息づく歴史の香り、和歌山で生まれた醤油のルーツ。

それぞれの土地が持つ文化や風土が、味噌という小さなひと椀の中にぎゅっと詰まっているように感じます。

あなたの「ホンマもんの味噌」は見つかりましたか?

さて、次はいよいよ日本味噌図鑑の後半戦!

あなたの知らない「東日本の味噌物語」が待っています。 どうぞお楽しみに!

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!